プロジェクトストーリー

最高グレードの無菌空間に、要求以上の価値を加え、製薬の現場を支える。

ピュアテックの製品は、お客様の設備の一部として使用される。そのためお客様が提示された仕様に合う製品を提案するのが、技術営業の基本。だが当社の技術営業は、ときに要求を上回る提案に挑む。クリーン設備を担当する向井健のケースを紹介しよう。

名古屋営業本部 技術営業部 部長 向井 健

用 途 : 医薬品製造ライン用クリーン設備
(安全キャビネット付きラミナーブース、クリーンベンチ、グローブボックス)
目 的 : 無菌・封じ込め
使用場所 日本
設備規模 W約10m×D約16m×H約2.5m
受注金額 約1億4000万円
期 間 : 2014年~2015年

安さだけの提案で満足しない

高い清浄度を保つ空間を作るための設備、ラミナーブース。ある医薬品メーカーのお客様から依頼されたのは、抗生剤を製造するための、グレードA(ISO5)※のラミナーブースの提案だった。「室内に取り込む空気中の埃をフィルターで除去し、層流性の高い吹出口を採用するシステムは多くの実績があり、技術的には難しくはありません」と向井。そうなると競合との価格勝負だが、彼は単なる安さの勝負には出なかった。抑えられる箇所は安価に。一方で、かけるべき部分には高機能な機器を。たとえばラミナーブース内に設置する“グローブボックス”。毒性のある薬品の製造プロセスにおいて作業者を保護する設備だが、フィルター交換の際、吸着した粉体が人体に触れる危険性がある。そこで彼は、以前に展示会で目を着けた、暴露せずに交換できる機構のフィルターを提案に盛り込んだのだ。この“高機能かつ低価格”な提案が支持され、競合他社を抑えて受注となった。
※“1㎥の空気中に許容される粒子数が、0.5μmで3520個以下、5μmで20個以下”という清浄度の規格。

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お客様と一緒に試行錯誤を重ねる

もう一つ、彼が提案したモノがある。上で述べたグローブボックスでは、装置に取り付けられたグローブに作業者が手を入れ、ボックス内部に置かれた大きなタンク内の薬品をかき混ぜて、次の作業者に引き渡すという作業が行われる。女性の作業者には、体力的負担の大きい動作だ。そこで向井は経験豊富な技術顧問のアドバイスを受けながら、タンクを載せて回転させたり傾けたりできるテーブルをグローブボックス内に組み込む提案をした。木とプラスチック段ボールによって実物大模型製作(モックアップ)を行い、作業者の代表に来社いただいてテストを繰り返し、細かな要望を聞いては一つひとつ反映していった。「完成後にその方が『いいじゃない、これ!』と言ってくれたのがうれしかったですね。評判もいいようです」と向井は顔をほころばせる。

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毎回、考える苦しみと完成の喜びが

技術的に難しくない設備だと言ったが、この設備には清浄度とは別の課題があった。ラミナーブースは、既存の部屋の内側に、ほぼピッタリ収まるサイズの部屋をもう一つつくるような製品。部材をうまく分割しなければ、現場への搬入や組み立てができなくなる。「分割方法や搬入経路、組み立て順序を考えながら設計する過程は、パズルのようでした」。施工管理担当の技術職スタッフとも連携して設計を進め、据付や室内約1000カ所の風速測定をはじめとするテストと調整にも立ち会い、稼働を見届けた。毎回、新たな課題が立ちはだかるこの仕事。「考える楽しさと完成の喜びは、オーダーメイドだからこそです。ただ、考えている最中は苦しいですが…」。それでも、この設備がなければ薬を製造することができないと胸を張り、お客様からお礼の電話をいただくこともあると笑う。それが彼の、要求を超えた提案に挑む原動力である。

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