法改正により喫煙専用室や分煙ブースの設置が必須に!禁煙している人やたばこの臭いに悩まされる人には朗報か?
法改正により原則屋内禁煙へ
2018年7月に健康増進法の一部が改正され、2019年7月より子どもや患者等に特に配慮すべき施設(病院、学校、行政機関の庁舎等)は原則敷地内禁煙となりました。
また、2020年4月より多数の人が利用する施設(駅、事務所、飲食店、ホテルなど)では、
条件を満たした喫煙専用室などが設置されれば、そこでのみ喫煙が許可される原則屋内禁煙となり、喫煙専用設備が設置されていない場所では喫煙できなくなります。
必要な喫煙設備を設置しない場合、管理者に罰則が適用される場合もあるので、施設の管理者は注意が必要となります。
また、学校・病院・児童福祉施設や行政機関などの施設は原則敷地内禁煙ですが、屋外で必要な措置が取られた場所に限り、喫煙場所の設置ができます。旅客運送事業自動車(タクシーやバス)・航空機は完全禁煙であり、喫煙室の設置も認められません。
受動喫煙に対する対応としての分煙
受動喫煙は1960年頃から研究者の間で認識されはじめ、アメリカでは1980年前後に健康へのリスクとして認定されました。
それまでは非喫煙者にとってたばこの煙の臭いは迷惑でしたが、
直接煙を吸っている喫煙者と違って健康被害があるとは思われていませんでした。
しかし受動喫煙による非喫煙者への影響が広く認知され始めると、喫煙者のたばこを吸う権利と非喫煙者の健康を守る権利の両立を目指し、
同一の建物内に喫煙スペースを設けて喫煙が非喫煙者の迷惑にならないようにする分煙が飲食店やオフィスなどに導入されるようになりました。
そして前述の法改正により、基本的に多数の人が利用する施設では原則屋内禁煙となり、
喫煙は分煙ブースなどを設置した場所でのみ許されることになりました。
受動喫煙の影響が広く知られ始めるのと時を同じくして、喫煙者の数も減少しており、
もともと多かった男性喫煙者の数は1966年は約84%だったのが、2018年には27.8%まで減っています。
女性は元々喫煙者の数が少なかったのですが、やはり時間経過にしたがって減少する傾向にあります。
今回の法改正では分煙のための喫煙室として喫煙専用室(喫煙のみ可能)、
加熱式たばこ専用喫煙室(喫煙は加熱式たばこに限定され、
飲食等の提供が可能)、喫煙目的室(喫煙をサービスとして提供する施設)、
喫煙可能室(経営規模が小さい事業者に配慮した経過措置としての喫煙室)の4種類に分けています。
同一施設内の分煙ブースとしては前の2つが当たります。
受動喫煙被害減少のための財政支援、税制措置について
国は法改正だけでなく、受動喫煙防止のために財政支援、税制措置を行なって、
事業者が“望まない受動喫煙”を減少させることを支援しています。
財政支援では受動喫煙防止対策助成金を出しています。
これは各業種によって雇用者数や資本金が一定の数以下の中小企業事業主に対して認めている助成金で、
一定の要件を満たす喫煙室の設置や受動喫煙を防止するための換気設備の設置などにかかった経費の1/2(飲食店は2/3)を
最大100万円を限度に助成する制度です。
税制措置では特別償却又は税額控除制度を行なっています。
これは資本金1億円以下の中小企業や従業員数1,000人以下の個人事業主に対するもの
(税額控除は資本金3,000万円以下の中小企業又は個人事業主)で、
商工会議所などの認定経営革新等支援機関が指導する経営改善に基づいて経営改善設備の取得を行った場合に、
取得価額の特別償却(30%)又は税額控除(7%)の適用を認めるものです。
器具・備品については取得価額が1台30万円以上、建物附属設備については取得価額が1台60万円以上が要件です。